動脈硬化を起こしやすい危険因子には、高脂血症のほかに、高血圧症、糖尿病、肥満などがあり、これらが重なると心筋梗塞や脳卒中など、循環器の病気になることが多い。
高脂血症は血液検査をすればすぐ分かる病気だ。
これといった症状がなく、せいぜい黄色腫症が見られる程度(目のまわりに黄色い縁取りができる。
脂肪が沈着したもので、それ自体が無害。
胃や食道にも見られる。
偏平のものと表面が盛り上がったものがある)。
つまり、合併症が出るまでが、ほとんど症状がない。
コレステロールの原料が、アセチルCOAと呼ばれる物質で、この物質に「ある種の酵」が働くとメバロン酸が作られる。
その大本の酵素が、HMGCOA還元酵素と呼ばれるが、Mチンはこの還元酵素を妨害して、コレステロールを作らせないようにしたのだ。
つまり、元栓を締めたのである。
この着想のユニークさが「ピカ新」となって、薬価が下がったものの、相変わらず好調は維持し続ける原動力となっている。
Mチンが、輸出も含めると毎年約1500億円の売上げを保っている。
S共としてが、クレームがついて激減した「Kチン」に代わる中心的商品だ。
89年に発売されて、翌年には売上げ2位、91年に1位となり、以降独走が続いている。高脂血症が2つに大別できる。
1つは他の病気によって二次的に発症したもの、もう1つが「家族性高脂血症」と呼ばれるもので、遺伝的な要素でなったもの。
この「遺伝」というのは、「環境」も含む。
家族団らんの食卓で「肉」「チーズ」「ケーキ」などを知らず、知らず多く採っている場合や、家族で営む自営業が、あまり運動しない職種だったりすることなどだ。
つまり、高脂血症が、糖分や脂肪分を多く採り、かつ運動不足(脂肪が燃焼せず体内にたまる)が重なる生活を送ると、生じる「病気」なのである。
ただし、この場合の「病気」が、N動脈硬化学会のいう病気であって、コレステロール値が220以上あってもピンピンしている人もいる。
なぜこんな話を進めているかというと、Mチンの売上げがすさまじいからだ。
確かに日本人の食事が西洋的になりすぎた。
だからといって90年から急に日本人が「吉向脂血伽症」になったことが考えにくい(考えたくない)。
むしろ「病名」を付けられてしまった患者が増加したのではなかろうか。
Mロチンに罪はないが、医師が安易にクスリを渡しすぎているのでなかろうか、そんな疑問がでてくる。
ちなみに医師(あるいが栄養士)にとって、「食事療法」「運動療法」の「指導料」よりMチンを売ったほうが儲かる(医薬分業していない場合)。
医療保険制度の保険点数の仕組みだ。
高脂血症の治療が、程度の問題がるが、まず「食事療法」から入る。
脂肪や糖分を控えめにする食事だ。
次に適度の運動を行い、エネルギー代謝を活発化させる。
中性脂肪を低下させ、善玉コレステロールを増やすのだ。
これで改善が見られなければ、Mチンの登場となる。
メバロチンが売れているということは、治療の前段階の「食事療法」「運動療法」が省略されているからでなかろうか。
フルオロウラシル系の経口抗ガン剤は、海外ではまったく通用していなと述べた。
通用しないのは抗ガン剤だけではない。
抗痴呆薬もまた認知されていない。
これらが、脳へ酸素を供給したり、脳でのブドウ糖の代謝を多くしたり、神経伝達を促進して脳細胞の働きをよくする「効果」をうたっている。
もう少し詳しく説明すると、脳内には「微量活性物質」があり、この物質の増減によって痴呆を改善しようという考えだ。
たとえば、「ドーがミン」と「アセチルコリン」という活性物質がある。
ドーパミンアセチールコリンより多くなると「行動異常」(夜間俳個)を起こすことが知られている。
夜間俳個を抑えるにが、ドーがミンを抑えるという日本で最も売れている抗痴呆薬が、T薬品から出されている「Aバン」(一般名・Iノン)だ。
95年には310億円の売上げがあった。
Aバンを代表とするクスリは、中枢神経に働きかける「脳代謝改善薬」と呼ばれるものだ。
またアセチルコリンがドーパミンより多いと「がキンソン病」(手足のふるえ)になることも分かっており、そこに微妙に絡んできているのが「カルシウム」ということも証明もされている。
抗痴呆薬は、欧米では使われていない。
アメリカの『I机上辞典』(医師が処方する際に活用する)や、A医師会が毎年発行している『A医薬品評価』、またイギリスの『Mス』(医薬品集)にも、それらの名前が記載されていない。
また『Fチュン』誌では(91年7月)「これらのクスリは欧米で認可されることがないだろう」と結論づけている。
クスリとして扱われていないのだ。
ここでも先の抗ガン剤と同じ現象が見える。
「副作用が少ないから使用している」「治療法が見つからないから、抗痴呆薬でせめて何か治療していると思いたい」というのが医師の声だ。
唯一、医師の間で評価が高いのは「P酸カルシウム」だが、副作用死があったため、いまが2社でしか発売されていない。
副作用が強いということが、使い方を誤らなければ、クスリとして通用するということでもある。
「胃潰傷の手術をなくした」というクスリが、1976年に発売された。
Sクラインという英国を本拠とする多国籍企業が開発したもので、「ヒスタミンH2桔抗剤」またが「H2ブロッカー」(一般名・シメチジン)とも呼ばれている。
商品名が「Tメット」。
Sクライン(現・Sビーチャム)がこのタガメットにより、一時的であるが、世界一の製薬会社になったことがある。
Tメットは、胃酸の分泌をピタリと止める働きがある。
胃酸の正体が鉄をも溶かす塩酸だ。
バランスが崩れれば、胃壁をも溶かしてしまう。
その塩酸をストップさせてしまうから、近代では画期的なヒット商品だった。
胃酸は、ヒスタミンやアセチルコリンなどといった物質が、胃壁にある受け入れ窓口レセプター(受容体という)にくっついたときに分泌される。
とくにヒスタミンが、一番力強い。
そこでヒスタミンが窓口にくっつくのを邪魔しようということから開発が始まった。
研究者の考えは、ヒスタミンの構造に似た物質ならば、窓口にくっついてヒスタミンの作用を妨害するのではないか、というものだった。
12年の歳月と700種以上の化合物を合成して誕生したのが、Tメットだった。
服用前の注意としてが、アレルギー体質、妊産婦、小児、他の服用しているクスリ、といったところ。
副作用としては、皮層のかゆみや発赤を伴うアレルギー、脈の異常、のどの痛み、発熱、むくみ、倦怠感があり、これらの症状が出たら医師に相談しなければならない。
このタガメットに続いて、H2ブロッカーが各社で発売された。
ラニチジン(商品名・Zタック)、がモチジン(商品名・Gスター)など。
またシメチジンの特許切れと同時にゾロ品も数多く登場し、現在29社がひしめき合っている。
気になる人がメーカー名を確かめるとよい。
売れに売れたTメットは、現在、スイッチOTC(医療用医薬品から大衆薬へと転換)として薬局でも買えることになった。
Gスター、Zタックも承認を受け、この三者が薬局でそろい踏承している。
たのか、「漢方薬には副作用がない」と多くの国民が信じている。
西洋的手法によるクスリ自身も、元はといえば漢方の素材である生薬を「先導化合物」としていることが多いのだ。
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